カルチャーショック 第 1部 5

キルギスのカルチャーショック Ⅴ   2015年2月

このシリーズはⅢで終わると思っていたら続きを書く気になったので増えました。今まで同様、頭に浮かんだ内容を順に書いているので起こった時期も内容もはばらばらです。

 

1.ドルはポケットに入れて

もう6,7年前、日本の会社の仕事で中古車を売ったことがあります。大学の教え子と一緒に売りましたがこの教え子はかばんを持たないのです。書類など運ぶのに危ないのでかばんを買って渡したのに使わないで手で持って行きます。

ある時、売れた車の代金5000ドルを郊外の自宅からズボンの後ろポケットに入れて乗り合いバスで持ってきました。これには怒るというより呆れました。夏だったのでドルが温まって汗で湿っていました。

ポケットのボタンを閉めたから大丈夫と涼しい顔でしたが、以前私が預けた金をバスの中で盗られたとしょんぼりしていたのは誰だったのか。この彼に限らずキルギス人はトラブルがあっても学習能力がないと常々感じています。

 

2.女性で「おう!」はないだろう

キルギス人女性で返事をするとき「おう」と言うのをよく聞きます。最初はちょっと驚いてこちらが「おう、なんと!」と思いましたが、あちこちで聞くので慣れてきました。静岡でも聞いた覚えがあるので静岡の女性はキルギス人?

 

3.2010年クーデターでは私も危なかった

2010年4月のクーデターでは旧大統領側がデモ隊に発砲しました。その前、2005年のクーデターは無血だったので他の人も私もまさか発砲するとは思いませんでした。

その日はJICA事務所に配達に行く日でした。アパートは大統領府に近いので、パンパンという音がして黒煙が上がっています。最初は花火かと思ったのですがそうではないとだんだんわかりました。

近くにある機動隊学校から200~300人の隊員が終結して大統領府に向かうなど朝から騒然としていました。配達は大統領府から遠い道を通ることにして歴史博物館東側を通りました。デモ隊や機動隊が移動していて空気がピンと張った異様な雰囲気です。チュイ通りに入る前にお客様から携帯に電話が入り、この騒ぎで事務所は閉めるのでもう配達に来なくてもいいと言います。それで引き返すことにしました。

その時は、大統領府の屋上に狙撃手がいて近くにいる人を無差別に撃っているとは考えもしませんでした。新聞を買っていた人、通勤途中の人などデモに関係ない人が撃たれのです。

アパートに近くなるとまた機動隊の部隊に遭遇、その横を通って帰りました。後で狙撃手の発砲があったことを聞いて、もし歴史博物館の100メートル大統領府寄りを歩いたら撃たれたかもしれないとぞっとしました。実際にその辺りで撃たれた人がいるわけですから。

追放されたバキエフ大統領側の発砲で500人以上が死傷しました。その中に私が入ったかも、などと知り合いに話しました。

 

4.ドアの鍵が折れた

2年ほど前のこと、アパートに帰ってきてドアを開けようと鍵を差し込んで回したら真っ二つに折れました。前からうまく差し込めず何回もガチャガチャやっていたので金属疲労です。これには困りました。スペアキーは部屋だし入れないと何もできない。知り合いに携帯電話をかけたらセンターの地下街で合鍵を作ればいいと言います。折れて鍵穴に残った鍵は取り出せたので幸いでした。

スペアキーを作って来たものの開くか心配でしたが開いた時はほっとしました。開かなければドアを取りはずすとか大仕事です。それ以来いつもスペアキーは持つことにしました。

 

5.偽タクシーが多くなった

タクシー会社が増え、もう20社近くあるかもしれません。みんな車の屋根に会社の表示灯を着けていますが会社の古い表示灯はバザールで売っているとか。もちろん実在する会社の表示灯ですが割れてテープを貼ったりしています。

バザールで買った表示灯を着けて営業しているタクシーがいます。しかし、表示灯だけの偽タクシーにはメーターがありません。行く先を言えばいくらと答えますが高い。会社名なしで「タクシー」とだけ表示してある個人タクシーと同じ料金です。会社の名前があればお客が多くなるという訳でしょうか。この偽タクシーは結構増えました。

 

6.欲しいもの

手に入らない物。以前は圧力鍋でした。バザールや店で探したり聞いたりしてもなし。見つけたのは野外のガレージセールでソ連時代の鍋。これで大豆を蒸して納豆を仕込みました。しかし圧力がかかりにくく時間がかかるし扱いが難しい。それで日本に行ったとき買ってきて今も使っています。

今では圧力鍋を中国や韓国の店で売っています。中国製は安いですが心配、韓国製はかなり高いので買わずじまいです。

他に欲しい物は自動点火のガス台で今でも売っていません。みんなマッチか乾電池式の点火器を使っていますが私は中国製チャッカマンです。以前は程度の悪いチャッカマンしか売ってなくて2日とか数日で壊れマッチに切り替えていました。  どうして自動点火がないのか。たぶん日本の会社のガス台は売ってないからでしょう。あと味醂も売っていません。味醂は日本だけなんですか。中国、韓国の食料品部門にもありません。それとキッチンタイマーもないので日本から送ってもらってます。こちらで時間を計って作る料理はないということです。

 

7.中国うどんのラグマン

手打ちの太い麺を使ったラグマンという料理があります。手打ちというか手で糸のように伸ばして作るので麺は太くなったり細くなったりしています。元は中国ウイグル料理らしいですがもう民族料理になっていて市内のどのカフェでもメニューになっています。

ある日本人にここが美味いと教えられて郊外にあるウイグル系バザールにある店で食べてみました。何と・・麺が柔らかく美味い。今まで食べていたラグマンは何だったのかと目からうろこの思いでした。市内のラグマンは作り置きの麺でバザールのは自家製、しかも毎日たくさん売れるので茹でたばかりで新しいのです。

バザール内には店が10軒以上あるので何ヶ月かかけて全部の店で食べました。やはり味はいろいろ、美味い不味いがあります。バザール入り口の大きい店は不味いし高い、並びの2軒目は味が濃く辛過ぎ、3軒目~5軒目が気に入りました。お客は正直でこの店はいつも込んでます。

時々無性に食べたくなって行くのですが問題は平皿で出てくるので汁が飛んで着ている物に付いてしまうこと。麺は手で撚って伸ばして作り、途中で切らないので一本が何メートルかにつながっています。食べる時は噛み切るしかないのでそのせいもあるでしょう。箸でもフォークで食べても同じ。どんぶりかエプロンを持参した方が良さそうです。

 

8.おつりは手に渡せ

バザールは売り場が狭いのでおつりは手で渡しますが、店ではどこでもおつりは台か机の上に置いています。これでは受け取っていいのかな、などと考えてしまいます。代金を受け取る時は手なのでこの習慣はどこからきたのでしょう。日本の習慣を教えてあげたい。

 

9.ウオッカの一気飲み

慣れとは恐ろしいもので、あんなに度数が強くて飲めなかったウオッカをコップ一杯200ccくらい一気飲みできるようになりました。パーティーなどでの乾杯は小グラスですが一気飲みはロシア人がよくやります。ただし、ロシア人はそれからまた飲みます。私は限界なので終わり。

ロシア人の平均寿命は50歳代と聞いたことがあります。原因はウオッカかもしれません。

 

9.DVDディスク

路上で映画、ドラマなどが入ったDVDディスクを売っています。全部違法コピーのディスクで今は1枚70円くらい。昔は300円くらいだったので安くなりました。安くなったので買っていくうちに増えて箱一杯です。

日本の映画も出ていて北野たけし監督作品や勝新太郎の座頭市などもあります。

 

10.列車は日に3便

市内にある鉄道駅は一つ、ここからロシアへ毎日3便くらい出ています。電化されていないのでディーゼル列車で単線、内部は空調設備がないとか。商売などで大きな荷物を持った人たちが乗っていきます。東のイシククリ湖に向けての便がありますがまだ乗ったことはないです。

 

11.店の自動ドアは

キルギスに来た当初は、個人商店以外の大きな店は「ツム」というデパートしかありませんでした。それも売り場は2階までです。その内にトルコ系のベータストアーが開店し、初めて入り口に自動ドアが登場して「おー」と驚きました。ツムは回転ドアで自動ドアが付いたのはベータができて何年かしてからです。今ではデパートが多くなりどこも自動ドアなので見慣れてしまいました。

 

12.集中暖房

郊外にある熱供給センター(通称「テツ」)から送られる熱水を利用した集中暖房は暖かくて便利です。ただし熱水供給はアパートなどの集合住宅だけなので、一戸建ては電気や石炭を使って自分で供給しないといけません。

集中暖房の欠点は寒くなり始め、暖かくなり始めに供給が1ヶ月ずつずれるということ。10月に建物が冷えてきても雪が降って本格的に寒くならないと入らないし、3月に少し暖かくなると切れて建物が温まるまでの1ヶ月は冷え冷えします。経費節減でしょうが毎年困ってます。

熱水は暖房とは別に風呂や台所でも使います。これが5月の1ヶ月間供給停止します。点検・修理と言いますがこれも経費節減でしょう。モスクワでもこの時期停止するらしいですが白夜の都市で5月はまだ暑くない。中央アジアはもう30度近くになります。ソ連時代の画一基準は訂正してほしいものです。

 

13.中国は嫌い

もう10年以上前から中国人が経営する店、バザールやレストランができています。次にトルコ系の店やレストランができ、最近は韓国系が増えています。

ところで、キルギス人は中国人が嫌い。チンギスハンの時代にキルギスの村々を襲いながらウズベク方面に進出した歴史があるからです。それで2回の大統領追放クーデターの際に中国人経営の店とホテルが焼き討ちに遭いました。略奪は中国系以外にもトルコ系やキルギス系の店が被害に遭ってますから中国系だけを狙ったわけではありませんが。

 

14.信号から音声案内が

アパート近くのジベックジョルという大通りの交差点に「横断は終了です」という音声案内が付きました。こんなのが付いたのかと日本の交差点を思い出しました。しかし終了案内のタイミングが少し早い気がしますけど。もう1箇所マナス・トクトグラ通りの交差点にあるのを知っています。

 

15. 朝4時起きが普通に

1年ほど前から豆腐、納豆の注文がだいぶ増えました。それはいいことですが豆腐は1回に2個しかできないので作るのが間に合わない。それで朝4時起きで6時から作ることになりました。

最初は目覚ましをかけましたがだんだん習慣的になり、歳のせいもあってもう不要になってます。早起きは3文の得、色々用事もできます。ただ昼過ぎ眠くなるので昼寝が必要です。

 

16. 電気ポットを壊したのは誰だ

去年、中国製電気ポットを空焚きしてしまいました。いつも注意していたんですがなぜかやってしまった。その前、ベッドで背伸びしたら水を入れて枕元にあったポットの水を浴びてしまいました。これは何かの警告だったか?

ふと考えて、いつも枕元に置いてあったので、こんな所に置くな、と運命の神様が壊したのか。それともプラスチック製だったので質が悪いからという理由かも。

枕元に置くなという警告と考えて新しく買ったポットは台所にあります。

 

17.牛乳

日本で牛乳を飲むと冷たいのはもちろん温めて飲んでも腹がグルグル鳴って腹を下したりします。こちらでは冷たいのを飲んでも何も影響なし。牛乳の質が違うのかそれとも製造方法かと考えていますがわかりません。

乳製品はチーズ、プレーンヨーグルト、サワークリームなど多種類あってどれも美味しいです。日本ではまだ乳製品の文化が浅いので味はまだまだです。

 

18.2000円札は消えていた

これはキルギスではなく日本でのショックです。何年か振りに日本へ行き、関空で電車の切符を買おうと2000円札を自動販売機に入れたら・・戻ってきました。もう一度入れても同じ。偽札でもないし、と不思議でたまりません。駅員に聞いたら現金窓口で買って欲しいと言われました。

もう自動販売機では使えなくなっていたのです。こんなに変化が早いとは、浦島太郎の気分でした。

 

19.物価は上がって

現地通貨でいうと15年前は米1キロ15ソム、砂糖8ソムでした。現在、米90ソム、砂糖55ソムです。ソムと円のレートで見ないと正確ではありませんが米は6倍、砂糖は7倍高くなりました。肉マンに似ている「サムス」は5ソムが50ソムに、ハンバーガーは8ソムが80ソム、両方とも10倍になりました。

アパート代も高くなって以前は2部屋のアパートが月50ドルでしたが今は1部屋で200ドル以上。アパートの販売額は外国人が買えるようになってから上昇の

一途、2部屋で3000ドルだったのが三万ドル以上になり10倍以上です。

 

20.レーニン像は残った

ソ連が崩壊してそれぞれの国が独立する時、各国のレーニン像が倒され壊される場面がニュースで流されました。しかしキルギスでは無傷で残っています。ビシケクの国立博物館南の中央広場にあった像は博物館のすぐ裏側に移されましたが無傷で建ってます。

キルギスではどうして?ソ連時代、キルギスは最初自治州でしたが国として独立させる際にレーニンが賛成し尽力したから独立できた、というのが理由です。キルギス民族念願の国が成立する際、レーニンが反対したらどうなっていたか。それでビシケク市内でも地方でも像は残されています。

 

21.生水でも大丈夫

海外に行ったら生水は飲むな、というのは皆知っています。しかしビシケクの水は問題なしで腹も痛くなりません。地元の人は飲んでいるので免疫があると思ってましたが試しに水道水を飲んだら特に問題なしでした。もちろんいつもは沸かしていて、たまに急いでいる時そのまま飲んでます。

 

22.紅茶きのこ飲んでます

キルギス人の家に行ったら広口ビンからカップにジュースを入れてくれました。何か上の方に丸いふわふわしたものが浮いています。何だと聞いたら「チャイニー・グリブィ」だと言います。訳せば「紅茶茸」。日本でブームになったとき言葉は聞いた事があってもどんな物かは知りませんでした。インターネットで調べたら写真が出ていてまさにそれでした。作ってみたくなって丸い円盤をはがして分けてもらいました。以来2年くらい毎日飲んでは注ぎ足しています。

しかし「紅茶きのこ」という名称が良くない。きのこではシイタケのように足があるイメージになります。シベリアあたりが発祥で欧米では市販されているとか。最初の名前が「紅茶きのこ」だったので各国で使っているのでしょう。しかし形状はクレープ、とはいえ「紅茶クレープ」ではまたイメージが違うし。頭を悩ませます。いっそ「UFO紅茶」の方がいいかも。

 

(カルチャーショック Ⅵに続く)

 

 

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