ボズイ(移動式住居)

キルギスのボズイ(移動式住居)            2019年11月作成

 キルギス人は旧ソ連時代初期(1930年代)まで遊牧生活をしていました。生活適地を求めて移動するには組立式住居が便利です。私のいる首都ビシケクでは大きなイベント(外国企業や国内工芸品の展示など)の開催時以外は見ることがありません。郊外や地方では葬儀の時にお別れの場所として設置されます。ここに集まった人たちは涙は流さなくとも大きな声で泣き、別れを悲しみます。

在日キルギス共和国大使館  2014年11月27日 付けFacebookより·以下一部修正加筆

ユネスコ無形文化遺産に登録されたキルギスの組立移動式住居―ボズイ(ユルタ)について

 キルギス民族は1930年代まで遊牧生活を営んでいたため、その生活に欠かせなかったのは伝統的な組立移動式住居であった。遊牧民族の移動式住居をキルギス語で「ボズイ」、中国語で「パオ」、モンゴル語で「ゲル」、カザフ語で「キイズュイ」、ロシア語で「ユルタ」と言う。ロシア語の「ユルタ」(ユルト)の語源は、古代チュルク(トルコ)語だが、キルギス語では「ジュルト」と発音され、もっと広範囲的な意味(国民、親戚、祖国)である。キルギス語で「アタ・ジュルト」は祖国という意味です。

写真  ボズイの組み立て(インターネットより)

 キルギス語の「ボズイ」はボズとウイという言葉からなり、「ボズ」は「灰色」、「ウイ」は「家」という意味。昔、一般の遊牧民はボズイの骨組に被せるための高級なフェルトを使うことができないため黒と灰色の羊毛残物を使っていた。王や貴族だけが自分のユルタに真っ白な羊毛を使い、その住居は「アック・オルゴ」(白いユルタ)と呼ばれていた。
 キルギスのボズイは、モンゴルやカザフのものより大きくて高く、直径およそ5m高さは3~3.5mになる。最も重要な部分が骨組、ドアそして天窓である。ユルタを組み立てるには、まず敷居を造りそれにドアを取り付ける。そしてドアの両側から円形に骨組(壁)を取り付け始める。円形の天窓は数本の少し曲がった長い棒を使って取り付けられる。最後にユルタ全体に羊毛のフェルトを被せ紐や縄で結びつける。組立て時間は約一時間である。

写真  天窓      

窓はキルギス語で「トゥンドゥック」と言いキルギスのシンボルとも言うべきもので、国旗にデザインされている。「トゥンドゥック」の真下にかまどが置かれるため、天窓が煙突の役割も果たしている。雨や雪が降るときは、天窓はフェルトで覆われる。

ボズイの中の配置には決まりがあり、入り口の反対側(正面)には日本における上座と同様お客様や尊敬すべき者だけが座る位置となっている。入って右側は女性用(エプチ・ジャック)で食器や炊事用具の保管場所である。左側は男性用(エル・ジャック)で、本来、狩猟用具や馬具等を掛けていた。

  ボズイ内部

ボズイ内部 このボズイは誘拐婚を扱ったキルギス映画「ボズ・サルクン(原題)」に使われました。撮影 大滝

 現在キルギス人の中には一年中遊牧生活を営んでいる者はまったくいないが、ボズイは夏場だけ山々の草原に家畜の放牧に出かける人たちに広く活用される。その他に大きなイベントや葬式の時にも使われる。

以上在日キルギス共和国大使館  2014年11月27日 付けFacebookより· 一部修正加筆